皆さん、おはようございます。
本日は、最近話題となっている「カスタマーハラスメント防止条例案」について、お話しさせていただきます。
先日、東京都議会に「カスハラ」を防止する条例案が提出されました。これが成立すれば、全国で初めての条例となります。
カスハラ、つまりカスタマーハラスメントは、近年社会問題として注目を集めています。
この条例案の特徴として、民間企業だけでなく公的機関も対象となること、そして違反者への罰則規定がないことが挙げられます。
むしろ、カスハラ禁止を明確に示すことで抑止効果を期待するものです。また、今後、具体的な事例を示したガイドラインの作成も予定されているようです。
この条例の重要な点は、企業が従業員を守るためにカスハラ防止対策を講じる責務が明確になったことです。
つまり、クレーム対応を個々の従業員に任せるのではなく、企業として指針を作成し、不当なクレームかどうかを適切に判断する体制を整えることが求められるようになりました。
カスハラに該当する行為には、威圧的な言動、従業員個人への攻撃や要求、土下座の強要、長時間の居座りなどが含まれます。しかし、これらの例も抽象的であり、今後どのように具体化していくかが課題となっていくのではないかと思います。
ここで重要になるのが、正当なクレームとカスハラの線引きです。
例えば、注文と異なる料理が提供された場合、「注文した料理と違うのですが」と丁寧に伝えるのは正当なクレームです。一方、「間違ったんだから無料にして!」といった過剰な要求や、「チッ!こんなの頼んでない」と舌打ちをする、「お前じゃダメだ。責任者を連れてこい」と店員の人格を否定するような行為は、カスハラの可能性があります。
私たち消費者も、不満を感じた際にどのように伝えるか、常に意識する必要があります。この条例に罰則規定はありませんが、「カスハラは許されない」という認識を社会全体に広めることで、大きな効果が期待できると思います。
最後に、この条例案は、顧客と企業の良好な関係構築のための重要な一歩だと考えます。互いの立場を尊重し、適切なコミュニケーションを心がけることで、より良いサービスの提供と受益が可能になるのではないでしょうか。
ありがとうございました。
近年のカスタマーハラスメントの実態
近年、カスタマーハラスメント(カスハラ)に関する社会的認識が高まり、その対策が重要視されています。以下に最近の傾向や動きをまとめます。
カスハラの増加傾向
カスハラは増加傾向にあり、厚生労働省の調査によると、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントが減少傾向にある一方で、カスハラは増加しています。
直近5年間の発生件数について、36.9%の人が「増えた」と感じています。
カスハラの具体例
最も多いカスハラの形態は「暴言」(46.7%)で、次いで「説教など権威的な態度」(46.7%)、「同じクレーム内容の執拗な繰り返し」(32.4%)となっています。
カスハラの影響
カスハラを受けた従業員の76.4%が生活上の変化を経験し、38.2%が「出勤が憂鬱になった」、26.7%が「心身に不調をきたした」と報告しています。企業にとっても、従業員の離職やイメージダウン、業績悪化などの深刻な影響があります。
企業の対応
多くの企業がカスハラ対策に乗り出しています。
- 東京メトログループ、JR東日本グループ、JR西日本グループなどがカスハラ対応ポリシーを策定。
- 京王電鉄バスが乗務員のビジネスネームを導入。
- SmartHRやアシックスなどが悪質なカスハラに対する取引拒否や中止の方針を掲げる。
法的・行政的動き
- 東京都が2023年4月から「カスタマーハラスメント防止条例」を施行。
- 2024年5月、政府・与党が労働施策総合推進法の改正を検討し、カスハラ対策の強化を目指す動きが報道される。
- 厚生労働省が2025年1月に改正案提出を検討。
公的機関の対応
福岡県警が2023年5月、警察組織として全国初のカスタマーハラスメント運用指針を定め、運用を開始しました。
企業に求められる対策
これらの動きは、カスハラに対する社会全体の認識が高まり、その対策が急務となっていることを示しています。
企業や行政、法制度の面から総合的なアプローチが進められています。