「数字と直感」をテーマにしたスピーチ

皆さん、おはようございます。

私たちは日々、ビジネスシーンにおいて様々な意思決定を行っています。その際、客観的な事実や数字に基づいて判断することが重要ですが、実際にはそうでないケースが多いのです。

ある興味深い実験をご紹介します。被験者に二つの箱のどちらかからくじを引いてもらうというものです。一方の箱には100個のくじが入っており、9個の当たりが含まれています。もう一方には10個のくじがあり、1個が当たりです。

さて、皆さんはどちらの箱を選びますか?

多くの人が、9個の当たりがある100個入りの箱を選んだそうです。しかし、実際に計算してみると、10個入りの箱の方が当たる確率が高いのです。これは、私たちが大きな数字に惹かれやすいという心理が働いたためだと考えられます。

このように、私たちは数学的な事実や論理を見落とし、統計よりも直感や個人の好みに基づいて判断してしまうことがあります。ビジネスの世界でも同様のことが起こりかねません。

例えば、新製品の開発や市場戦略の立案時に、単に「良さそうだ」という感覚だけで決めていないでしょうか。あるいは、投資判断の際に、過去の成功体験にとらわれすぎていないでしょうか。

大切なのは、意思決定を行う際に、感覚や好みだけでなく、客観的な数値や事実を十分に考慮することです。売上データ、市場調査の結果、コスト分析など、数字で表される情報を積極的に活用しましょう。

ただし、数字に親しむというのは、決して感覚を無視するということではありません。むしろ、数字という客観的な指標と、経験に基づく直感とのバランスを取ることが重要です。

今日からぜひ、日々の業務の中で数字を意識してみましょう。

数字に親しむことで、より良い意思決定ができるようになり、結果として個人の成長にもつながります。そして、それは必ず会社全体の成功にも寄与するはずです。

ありがとうございました。

事実と直感のズレ

話にあったクジの例のような、人間の直感と統計的な現実が食い違う例は他にもあります。

いくつか興味深い例をご紹介します。

  1. モンティ・ホール問題
    3つのドアがあり、1つの当たりと2つのハズレがあります。参加者が1つのドアを選んだ後、司会者がハズレのドアを1つ開けます。そして参加者に、選択を変更するかどうか尋ねます。多くの人は選択を変更しませんが、実は変更した方が当たる確率が高くなります。
  2. ベースレート錯誤
    例えば、ある病気の検査で99%の精度があるとします。しかし、その病気の発症率が1%だとすると、陽性反応が出ても実際に病気である確率は50%程度になります。多くの人はこの低い確率を直感的に理解できません。
  3. ギャンブラーの錯誤
    コイン投げで10回連続で表が出た場合、多くの人は次は裏が出る確率が高くなると考えます。しかし、実際には各試行は独立しており、裏が出る確率は常に50%です。
  4. サンクコスト錯誤
    すでに投資した時間やお金のために、合理的でない選択を続けてしまう傾向があります。例えば、つまらない映画でもチケット代を払ったからという理由で最後まで見続けてしまうことです。
  5. 確証バイアス
    自分の信念や仮説を支持する情報ばかりを集め、反対の証拠を無視する傾向があります。例えば、特定の政治的立場を支持する情報ばかりを集めてしまうことです。
  6. 可用性ヒューリスティック
    最近や印象的な出来事を過大評価する傾向があります。例えば、飛行機事故のニュースを見た後、飛行機での移動を避けようとすることがあります。実際には、車での移動の方がはるかに危険です。

これらの例は、私たちの直感が必ずしも統計的な現実と一致しないことを示しています。

ビジネスの意思決定においても、こうしたバイアスに注意を払い、できる限り客観的なデータや統計を参考にすることが重要です。