令和3年度近畿大学卒業式。
新型コロナの影響で多くの困難を経験した卒業生たちに対し、サプライズで登壇した安倍晋三元内閣総理大臣は、温かくも力強いスピーチを贈りました。
テーマは「大切なことは失敗から立ち上がること」。
このメッセージは、卒業生だけでなく、いままさに仕事や人生の壁にぶつかっているビジネスパーソンにも深く響く内容でした。
本記事では、スピーチの中から印象的な言葉を引用しながら、その本質を読み解いていきます。
スピーチ動画(YouTube)
スピーチ全文(近畿大学公式)
https://kindaipicks.com/article/002455?utm_source=chatgpt.com
自らの挫折を語る勇気
安倍元首相のスピーチは、決して成功談ではありませんでした。
むしろ、第一次政権が1年で幕を閉じた自身の「政治家としての失敗」を正面から語る姿勢が、聴く者の心を打ちました。
「政権を投げ出した、日本中から厳しく批判されました。私の責任です。私の政治家としての自信や誇りは砕け散ってしまった。もう安倍晋三は終わった。みんなそう思ったんです。」
「終わった」と見なされた過去をあえて語る。
そこには、再び立ち上がることの大切さを誰よりも知っている人の言葉の重みがありました。
立ち上がる原動力は「諦めない心」と「仲間の存在」
第一次政権後、安倍氏は新薬の登場によって体調を回復させましたが、再び政治の表舞台に戻る自信はなかったといいます。
そんな彼の背中を押したのが、東日本大震災の被災地で懸命に生きる人々の姿でした。
「被災地の復興、そしてそのために強い経済を取り戻すことが私の使命である。こう決意しました。」
そして、再挑戦を支えてくれたのは仲間たちの存在でした。
「私よりも優れた仲間たちがいたからです。第一次政権で同じように失敗をし、悔しい思いをした仲間たちと、チームで同じ方向に進むことができたからです。」
ビジネスにおいても、孤独では限界があります。
共に悔しさを味わい、成長し合える仲間の存在が、再挑戦の原動力になるのです。
失敗とは「終わり」ではなく「糧」である
安倍氏は、失敗を恥とする風潮に対して、こう語っています。
「皆さんもこれからの長い人生、失敗はつきものです。人によっては何回も、何回も、何回も失敗するかもしれない。でも大切なことは、そこから立ち上がることです。」
そしてウォルト・ディズニーの例を挙げ、「何度も倒産を繰り返しながらも成功を手にした」ことを紹介しました。
これは、ビジネスパーソンにとって非常に示唆に富む視点です。
成果ばかりを求められる職場では、失敗が評価を下げるものとして捉えられがちです。
しかし、何度も失敗できること、そしてそこから学びを得られる環境こそが、本当の意味で「挑戦できる社会」なのだと気づかされます。
自分を信じる力が、すべての始まり
スピーチの終盤、安倍氏は近畿大学の応援ソング『Kindai Spirit』の一節を引用しながら、自信の大切さを説いています。
「やれそうって思ったら、もうほとんどは乗り越えたようなもの。」(By つんく♂)
この言葉の通り、「自分にはできる」と思えるかどうかが、挑戦の第一歩になります。
安倍氏はこうも言っています。
「諦めないことが大事です。そして、できると思う自信がとても大切だと思います。」
これは、どんなに困難な状況でも、自分の内なる可能性を信じ続けることの大切さを語る、真っ直ぐなメッセージです。
まとめ:どんな困難も、立ち上がる力があれば超えていける
このスピーチは、成功者による勝利の物語ではなく、「失敗と挫折を経た挑戦者」が語る、実感に満ちた言葉の連続でした。
ビジネスの世界でも、うまくいかないこと、思い通りにならないことは日常茶飯事です。
でも、それを「終わり」と考えるのか、「次の成長のきっかけ」と捉えるのかで、その後の人生は大きく変わってきます。
安倍晋三元首相のスピーチは、こう締めくくられます。
「どうかチャレンジして、そして失敗しても立ち上がってください。皆さんのあふれる若い力で、よりよい世界をつくってください。」
この言葉を胸に、私たちも日々の仕事や人生のなかで、「何度でも立ち上がる」勇気を持って進んでいきたいものです。