無心
皆さん、おはようございます。
今日は、「無心」という言葉についてお話ししたいと思います。
日本の芸道において理想とされる境地のひとつが「無心」です。
この「無心」という言葉、一見すると「心が無い」状態のようにも思えますが、実はそうではありません。
ここで言う「無心」とは、妄念やとらわれが取り払われた、澄みきった心の状態を指します。
たとえば、剣道の達人が無意識のうちに最善の一手を繰り出すとき。
または、茶道の名人が何の力みもなく、自然に一連の所作を行うとき。
そこには、「上手くやろう」「こうすべきだ」といった意識的な思考は介在していません。
あるのは、目の前のことに対して純粋に向き合う、清らかな集中です。
私たちの日常においても、無心の境地は大きなヒントを与えてくれるように思います。
仕事で何かを判断するとき、私たちはつい、過去の経験や知識に縛られがちです。
また、自分の好みや思い込みから、ある選択肢に固執してしまうこともあるでしょう。
それが良い結果をもたらすこともありますが、時には、それが新しい可能性を閉ざす原因になってしまうこともある。
「無心」とは、そうしたとらわれから自由になるということです。
もちろん、いきなり無心になれるわけではありません。
芸道の達人でも、長い年月をかけて到達する境地です。 私たちが目指すとしても、それは容易なことではありません。
ですが、「無心」という理想があることを知っているだけでも違うと思うのです。
とらわれや思い込みに気づくことができれば、少しだけ心を解放して、柔軟に物事に向き合うことができるようになります。
仕事においても、何かに固執せず、純粋に「今、ここ」に集中する。
そうすることで、より良い判断や行動につながるのではないかと、私は思います。
皆さんも、ぜひ一度、自分自身の「とらわれ」に気づいてみてください。
そして、少しずつでも、無心に近づく意識を持ってみてはいかがでしょうか。
ありがとうございました。