2024年1月17日、「東京都同情塔」で第170回芥川龍之介賞を受賞した九段理江氏が、対話型人工知能(AI)「チャットGPT」を活用していたことを公表しました。
全体の5%はAIが自動生成した文章がそのまま使われているとのことです。
世間の反応は?
九段理江氏の芥川賞受賞は、多くの議論を巻き起こしました。彼女が受賞作を執筆する際に生成AIを活用したことを公表したことが、その主な理由です。
SNS上では、「画期的な出来事」と好意的な声がある一方で、批判的に受け止める人もいました。しかし、一方で、「創作は人間だからできるもの」という意見もあり、AIを使った作品に対する賛否は分かれていました。また、日本経済新聞社は「芥川賞・九段さんに聞く、純文学とテックの共創」と題した映像インタビューを配信し、独創性を求められる作家がテクノロジーにどんな姿勢で向き合っているのかを探りました。
これらの反応から、AIと共同で執筆することに対する意見は分かれていることがわかります。しかし、それは同時に、この新たな創作の可能性に対する関心の高さを示しています。
5%ってどのくらい?
「東京都同情塔」の総ページ数は144ページです。(※wikipedia調べ)全体の5%というと、約7ページ分に相当します。
文字数については、一般的に1ページあたりの文字数は400文字から600文字とされています。したがって、おおよそ2800文字から4200文字程度と考えられます。これはあくまで概算であり、実際の文字数は書籍のレイアウトやフォントサイズなどにより異なります。
AIで執筆することのメリット、デメリット
AIを執筆に活用することには、様々なメリットがあります。例えば、AIは大量の情報を高速に処理することができ、それをもとに新たなアイデアを提供することが可能です。また、AIは疲れることなく、一貫した品質の文章を生成することができます。
しかし、一方でデメリットも存在します。AIは現状では、人間の感情や経験を完全に理解することはできません。そのため、人間の深い感情を描写することは難しいかもしれません。また、AIが創作活動を担うことで、人間の創造性が奪われるという懸念もあります。
「東京都同情塔」ってどんな作品?
物語は、新宿御苑に建つ美しい高層刑務所「シンパシータワートーキョー」を舞台に展開します。主人公の建築家・牧名沙羅は、犯罪者に寛容になれないという信条と、シンパシータワートーキョーの設計という仕事との間で苦悩しながら、未来を追求します。
この作品は、未来を現在の時間の先ではなく、現実の場所の中に二重写しにして見せている点が特筆すべきです。また、ゆるふわな言葉と実のない正義の関係を豊かなフロウで暴く、生成AI時代の預言の書とも評されています。
選考委員の吉田修一氏は、「欠点を探すのが難しい完成度の高い作品だった。架空の東京という舞台にリアリティーがあり、多くの読者に届く」と講評しています。
九段理江氏ってどんな人物?
1990年に埼玉県で生まれた日本の小説家。2021年に「悪い音楽」で文學界新人賞を受賞し、デビュー。その後、2022年に「Schoolgirl」で第166回芥川龍之介賞の候補になりました。さらに、2023年には同作で第73回芸術選奨新人賞を受賞し、同年11月には「しをかくうま」で第45回野間文芸新人賞を受賞しました。そして、2024年1月には「東京都同情塔」で第170回芥川龍之介賞を受賞しました。
AIと文学の未来
私自身は、この出来事を非常に興味深く感じました。AIが人間の創造性を補完し、新たな表現の可能性を広げることに期待を感じていますし、執筆に導入することには賛成派です。しかし、同時に、AIが創作活動にどの程度関与すべきか、という議論が必要だとも感じています。
AIと文学の未来について考えるとき、私たちはAIを単なるツールとしてではなく、創作パートナーとして捉えるべきだと思います。AIは、私たちが思い描く世界を形にする新たな手段となり得ます。
しかし、AIが創作活動を支える一方で、人間の創造性と感情の重要性を忘れてはなりません。AIと人間が共に創り出す新たな文学の世界が、これからどのように展開していくのか、私たちはその進化を見守ることになるでしょう。
以上、AIと執筆についての私の見解でした。これからも、この興味深いテーマについて追求していきたいと思います。