【ビジネス書】「引き算思考」をテーマにしたスピーチ

皆さん、おはようございます。

本日は、私が最近読んだ本、ライディ・クロッツ氏の著書「引き算思考」について、お話しさせていただきます。

私たちは日々、様々な課題に直面しています。その解決策を考える際、多くの場合「何かを加える」ことを第一に考えがちです。新しいツールの導入、人員の増加、予算の拡大など、常に「プラス」の発想で対応しようとします。

しかし、クロッツ氏が提唱するのは、「引く」という選択肢の重要性です。不要な要素を取り除くことで、問題の本質が見えてくる場合があというのが「引き算思考」の核心です。

では、なぜ私たちは「引く」ことが苦手なのでしょうか。クロッツ氏は主に3つの理由を挙げています。

1つ目は、人間の本能的な特性です。私たちは自分の行動の証拠を求める傾向があります。「加える」行為は目に見える形で残りやすく、何かを実行した感覚が強いですが、「引く」行為はその実感が残りにくいのです。

2つ目は、文化的背景です。人類の歴史を振り返ると、文明の発展は常に何かを「加える」ことで進んできました。この長年の習慣が、私たちの思考にも影響を与えています。

3つ目は、経済的な要因です。特に資本主義社会において、「引く」ことは直接的な利益に結びつきにくい傾向があります。新製品の開発や新サービスの提供など、「加える」ことで利益を生み出すモデルが主流となっています。

しかし、「引き算思考」を活用することで、より効果的な問題解決が可能になるかもしれません。

クロッツ氏は、実践のための4つのステップを提案しています。

まず、改善前の引き算です。何かを改善する前に、まず不要な要素を取り除きます。これにより、本当に必要な核心部分が見えてきます。例えば、業務プロセスから無駄な手順を省くことで、本質的な課題がより明確になります。

次に、先行する引き算です。変革の初期段階で引き算を行うことで、より大きな効果を生み出せます。新しいプロジェクトを始める前に、関連しない業務を取り除くことで、チームはより集中して取り組めるようになります。

3つ目は、認識可能な引き算です。自分だけでなく、他者の視点も取り入れて「引くべき要素」を特定します。例えば、製品開発において、異なる部署の意見を聞くことで、本当に不要な機能を見つけ出せるかもしれません。

最後に、引いた要素の再活用です。取り除いた要素にも潜在的な価値があると考え、別の形での活用を検討します。ある部署で不要となったプロセスが、別の部署では有効に機能するかもしれません。

これらのステップを意識しながら「引き算思考」を実践することで、より効率的かつ効果的な問題解決が可能になるでしょう。

「引き算思考」は、単に物事を減らすだけではありません。本質を見極め、より効果的な解決策を見出すための強力な手段なのです。この思考法を身につけることで、私たちのビジネスアプローチはより洗練され、効果的なものになるでしょう。

「加える」ことと「引く」ことは、二者択一ではありません。両方の思考法を柔軟に使い分けることが、ビジネスにおいても重要です。

本日のお話が、皆様の業務改善や問題解決の一助となれば幸いです。今後の業務において、「足す」だけでなく「引く」という選択肢も意識的に検討してみてください。そうすることで、新たな視点や解決策が見えてくるかもしれません。

ありがとうございました。

参考文献