「無駄を省く」をテーマにしたスピーチ

皆さん、おはようございます。

皆さんは、「過ぎたるは猶(なお)及ばざるが如(ごと)し」という言葉をご存じでしょうか。

古くから伝わる『論語』の一節で、この言葉は、何事においても足りないのは困るが、やり過ぎもよくないという意味があります。この教えが現代にまで受け継がれているのは、人間が不足に目が行きやすい反面、過剰に対しては無頓着であることの現れかもしれません。

ある実験で、店の陳列棚にジャムを並べる際、種類を少なくした場合と多くした場合、どちらが売上が伸びるかを検証したそうです。多くの人は、種類を多く取りそろえるほど売上が増えると予想していましたが、実際には種類を多くした方が売上が減ってしまったのです。選択肢が多すぎると、お客さんは迷い、考えることを止め、結果、買わないという選択をしてしまうからです。

この現象は、私たちの仕事や生活の場でも見られます。多ければ多いほど好ましいと感じられがちですが、実際には多すぎると弊害をもたらすことがあります。ビタミンやミネラルの栄養は摂った方が良いとされていますが、過剰摂取は健康を害してしまいますし、運動や睡眠も適切な量・時間が大切です。

また、情報が過剰に溢れる環境では、必要な情報を見つけ出すのが難しくなり、生産性が低下することもありますし、使用しない道具などが多くある現場ではケガなどのリスクも伴います。

現代は大変物が豊富で、道具や食べ物などの物質的なものから情報やデータ、様々なツールなどのデジタルなものまで、誰しもが容易に手に入れることができます。

職場や家庭にある身の回りの物を見渡して、それが本当に必要な物か、過剰な物なのかを確認する機会を持ってみましょう。不要な物を減らし、本当に必要な物やことに集中することで、効率的かつ効果的な生活や仕事ができるようになります。

「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という言葉を心に留め、日々の生活や仕事に取り入れてみてください。これにより、過剰なものを排除し、必要なものに集中することで、より良い成果を得ることができるでしょう。

今日一日が皆さんにとって有意義なものとなりますように。ありがとうございました。

「論語(ろんご)」とは?

『論語』は、中国の春秋時代の思想家である孔子(紀元前551年 – 紀元前479年)の言行録です。孔子とその弟子たちの対話や教えをまとめたもので、儒教の基本的なテキストとして知られています。『論語』は、政治、倫理、哲学などさまざまなテーマにわたる孔子の思想を伝え、後世の中国の文化や価値観に大きな影響を与えました。

『論語』は20章からなり、孔子自身の言葉や行動、弟子たちとのやりとり、孔子が重んじた古代の聖人の言葉などが記録されています。孔子の教えは、人間関係の重要性、徳を積むことの大切さ、礼儀正しさ、政治家の理想像など、人間としての正しい生き方や社会のあり方を示しています。

『論語』には、個人の修養や社会倫理に関する深い洞察が含まれており、古代中国だけでなく、東アジアの文化圏全体においても、長きにわたって読み継がれ、学ばれてきました。また、世界中の多くの思想家や学者にも影響を与えています。