手書き文字
皆さん、おはようございます。
さて今日は、「手書き文字」についてお話ししたいと思います。
近年、デジタル化の進展によって、私たちの仕事の効率は格段に向上しました。
パソコンやスマートフォンを使えば、文書作成や情報共有が瞬時にでき、非常に便利な時代になりました。
しかしその影響で、手で文字を書く機会はめっきり減ってしまいました。
皆さんも、最近いつ手書きで長い文章を書いたか、すぐには思い出せないのではないでしょうか。
手書きの文字というのは、実に個性的です。
同じ文字でも、人によって形や大きさ、線の強弱、流れ方がまったく異なります。
そしてその違いには、書き手の人柄や気持ちがにじみ出ていることがあります。
たとえば、丁寧で落ち着いた字を見ると、几帳面で思慮深い人なのかなと感じたり、勢いのある太い字にはエネルギッシュな印象を持ったりと、無意識のうちにその人の性格を想像していることってありますよね。
実際に、文字の書き方からその人の性格や行動パターンを読み取る「筆跡診断」という研究分野も存在します。
これは1662年、イタリアの医師カミロ・バルディが「筆跡には個差が存在する」と題した論文を発表したことに端を発するとされており、線の太さや筆の入り方、余白の取り方などは、普段の思考や行動のパターンをそのまま反映していることが多いのだそうです。
また、筆跡研究者の森岡恒舟（もりおかこうしゅう）氏は、「意識的に良い筆跡に変える稽古を続けることにより、心の状態が変わる」と述べています。
つまり、文字の形を整えようとすることで、内面の変化が生まれるということです。
これは、まるで「書道」の世界のようだなと感じました。
お手本を見ながら文字を習う書道では、姿勢や呼吸、集中力が整い、書く人の心も静かになっていきます。
それと同じように、普段私たちが無意識に行っている「心の癖」や「行動の癖」も、少しずつ意識を向けて見直していくことで、より良い方向へと変えていけるのかもしれません。
日々の仕事の中でも、ちょっとしたメモを手書きで残してみる、ありがとうの一言を手書きで添えてみる、そんな小さな行動が、自分自身を整え、周囲との信頼関係を深める一歩になるような気がしています。
便利さに頼る一方で、アナログな営みの価値も、あらためて見直していきたいものです。
今日も一日、どうぞよろしくお願いいたします。
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