秋明菊（しゅうめいぎく）
皆さん、おはようございます。
朝夕の空気に少しずつ涼しさが増し、虫の音が心地よく感じられる季節になりました。
この時期、私の楽しみのひとつが、秋明菊の花を見ることです。
秋明菊は、キクという名前がついていますが、じつはアネモネの仲間で、見た目もどこか素朴でありながら凛とした美しさがあります。
もともとは中国原産ですが、かなり古い時代に日本に渡ってきたとされ、江戸時代の園芸書『花壇綱目』にもその名が記されているそうです。
京都の貴船地方で群生していたことから、「貴船菊」とも呼ばれています。
俳人・阿部みどり女は「観音の 影のさまなる 貴船菊」と詠んでいます。
観音様のような、静かで優しい存在としてこの花を捉えた一句です。
秋明菊の姿は、主張しすぎず、ひっそりと咲きながら、ふと目に留まると心が和む。
そんな控えめな美しさを持っています。
一方で、秋が深まり寒さが厳しくなると、地上の葉や茎はすっかり枯れてしまいます。
ですが、地下に張った根はそのまま力を蓄えて、春には再び芽を出す。
この姿を見ると、目に見えるものだけで判断せず、地道に力をためることの大切さを教えられるように思います。
ビジネスの世界でも成果がすぐに見えない時期や、周囲から評価されない時期というのは、誰しも経験するものです。
ですが、そうしたときこそ、焦らず、じっくりと自分の力を蓄える期間ととらえること。
そして、チャンスが巡ってきたときに一気に力を発揮できるよう、準備をしておくことが大切だと思います。
また、秋明菊のように、周囲と調和しながら自分の存在感を静かに示す在り方も、職場における協調性や謙虚さの象徴のように感じます。
「自分が自分が」と前に出るばかりではなく、全体のバランスを見ながら、必要な場面で確かな役割を果たす。
そういう人のほうが、長く信頼され、組織にとって欠かせない存在になるのではないかと、私は思います。
皆さんも、道端や庭先で秋明菊を見かけることがあったら、ただ「きれいだな」と思うだけでなく、そこに秘められた力や優しさを感じてみてください。
自然の中にある美しさは、私たちの日々の仕事の中にも、きっと何かヒントを与えてくれるはずです。
今日も一日、よろしくお願いします。
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